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お料理を提供する上での演出や
SUSgalleryとの出会いについて聞かせてください。

――料理の演出において、器やテーブルウェアの重要性についてどうお考えですか。
とても重要だと考えています。私たちにとって器は、料理を盛るための道具というよりも、食材の一部、あるいはスパイスのような存在です。例えば、白い皿はキャンバスのような役割を果たしますが、私たちは器そのものの形状や素材から発想を広げることもあります。そこから生まれたアイデアを職人の方々に持ち込み、新しい試みとしてコラボレーションできないか相談することもあります。季節や気候、温度、そして見せ方を考慮しながら、テーブルウェアは常に変えています。土器、磁器、金属、夏にはガラス。お客様には提供する料理全体を通して、様々な素材を体験していただきたいと考えています。箸や金属のスプーン、漆器、貝殻のようなカトラリーも同様です。一皿ごとに趣きが変わるよう、常に意識しています。

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――SUSgalleryとは、どのような出会いだったのでしょうか?
確か15年ほど前、東京を訪れた際に、当時のSUSgalleryの小さなストアに足を運びました。そこで詳しい説明を受け、深く感動したのを覚えています。「いつか自分がレストランを開くときには、必ずここのものを使おう」と、そのときに決めました。小さなカードを持ち帰り、将来のレストランに関する資料をまとめたファイルに大切にしまっていました。その後も日本を訪れるたびに、東京のSUSgalleryには必ず立ち寄っていたと思います。特にコレド室町店では、いくつかのタンブラーを購入し、多くの刺激を受けました。そこでもカタログを持ち帰り、その中で特に「このタンブラーを使いたい」と思い、Single Thread での使用を決めました。実際、ダイニングルームのカーペットや家具の色は、このタンブラーの色を基準に選んでいます。まったく同じトーンにしたかったんです。インテリアデザイナーにもセピア色のタンブラーを見せて、「これは常にテーブルの上にあるものだから、空間全体をこの色を軸にデザインしてほしい」と伝えました。料理は変わっても、このタンブラーだけは最初から最後までお客様の目の前にある存在ですから。

――現在、使用している商品はどれですか
またそれを使用することによるメリットはありますか。

お客様はタンブラーをとても気に入ってくださっています。まず席に着くと、最初に水をお出しします。それがレストランの第一印象になります。手に取って、触れて、温度を感じ、テーブルに結露がないことに気づき、そこから自然と質問が生まれます。そのやり取り自体が、Single Threadの第一印象であり、「今夜は何か特別な体験が待っている」という予感をお客様に伝えてくれる。これは私たちにとって、とても大切なことです。また、ボトルキーパーも使用しています。ワインや日本酒、シャンパンを冷たい状態で保ちたいとき、テーブルの近くに置くことで、お客様自身がそれを視覚的にも楽しめます。他にも冷たい料理用には小さなボウルも使っています。

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――今後SUSgalleryからどのような商品を希望されますか。
もし新たな商品についてご意見ございましたら教えてください。

とても良い質問ですね。まだ具体的には詰めきれていませんが、コラボレーションのような形で何か一緒にできたら、とても面白いと思っています。もう少し時間をかけて考えたいですね。一緒に何か面白いものが生み出せるのではないかと思っています。

実は、SUSgalleryのボウルを使った料理を作り、Instagramに投稿しました。これはユタ州のスキーリゾートへ旅行した際に見た情景から着想を得た料理なんです。小川の表面は凍っているのに、その下では水が流れているのが見える。凍った世界と、凍っていない世界が同時に存在している。ボウルの中には水と小石を入れ、冷凍庫で凍らせています。ただし、完全に凍らせるのではなく、空洞のある状態を作ることがポイントです。表面が凍った後、盛り箸のような道具で持ち上げ、小さな穴を開けて中の水を少し抜きます。その上に、細かな氷を敷き、キンメダイを盛りつけています。この構造によって、ボウルの下には水が流れている様子が見える。凍った川の下で静かに水が動いているような状態はお客様にとって予想外であり、Single Thread ならではの創造性ですよね。

――まるで芸術品のようですね。写真を拝見しましましたが、工程はわかりませんでした。
そう言っていただくことも多いですね。実は面白い発見がありました。冷凍庫に水を入れると、一般的にはあらゆる方向から凍り、時間が経つほど氷は厚くなってしまいます。しかしSUSgalleryのボウルだと、上から下へと凍っていく。この料理を作るには厚くなりすぎず、かといって薄すぎない、絶妙なタイミングを見極める必要があります。適切な状態になったところで穴を開け、水を少し抜き、再び冷凍庫へ戻す。溶け始める前のタイミングを計算しながら、お客様のもとへお出しします。一般的な構造ではなく、保冷・保温性を兼ね備えたサスギャラリーの真空二重構造だからこそ、その表現が実現できました。

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――とても興味深いです。自然から多くのインスピレーションを受けているようですが、
  アイデアを得るために各地を旅されることもありますか。

私たちがここで行っていることは、常にこの場所、カリフォルニアから生まれています。ただ、どこか別の土地を訪れれば、そこからも必ず着想を得たいとも思っています。日本で料理をするとしても、あるいは世界の別の場所で料理をするとしても、自分たちの軸は決してぶらさない。同時に、その土地の自然や環境から得られるものを取り入れることが重要だと考えています。でなければ、ただ外から持ち込んだだけの料理になってしまうからです。私たちは、ここSingle Thread で「特別な体験」と感じてもらえることを常に目指しています。

――最後に、若い料理人に伝えたいことはありますか?
私は、若い世代の、新しいタイプのシェフを心から応援したいと思っています。もし何か伝えるとすれば、常に自然に目を向け、そして人と協力することです。例えば、優れた農法や再生農業に取り組む生産者と共に仕事をすること。持続可能な水産食品にも意識を向けること。私たちシェフは、料理を通して「今、自然の中で何が起きているのか」を伝えられる存在だと思っています。だからこそ、品質が高く、かつサステナブルな食材を探し続けることに、私たちは力を注いでいます。

もう一つ大切なのは、メンターを見つけることです。自分のことを気にかけ、良い料理人になるために本気で教えてくれる人。残念ながら、若い料理人にただ仕事を任せ、学ぶ機会を与えない現場もあります。だからこそ、「きちんと学べる場所」を選んでほしい。それが、長く料理を続けていくために何より重要だと思います。

――お忙しい所、お話をお伺いさせていただきありがとうございます!
カイルシェフの農園と食材へのこだわりや、ソノマの地への想いが感じられました。
今後もさらなるご活躍を期待しています。

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photo: Kim Carroll / Garrett Rowland

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